どこまでも筋の通ったひどい本

岡本太郎の「明日の神話」が渋谷で公開されたためだろう。近所の書店でこの本が大量に積まれていたので買ってきて読んでみた。

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)
青春出版社
岡本 太郎

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「明日の神話」が公開されたのは昨年の11月。
なのに読んだのが今年の1月というのでは、ちょっと遅いと言われるかも知れない。
しかし、それだけ読むのに時間がかかってしまったのだから、これは仕方がない。
率直に言わせてもらってこれはひどい本だと思った。読みにくい。

私にとって岡本太郎というのは、ぎょろっとした目で「芸術は爆発だ!」と叫ぶ、ちょっと風変わりなおっさんという印象であった。
が、「明日の神話」の公開に際して紹介されたエピソード(岡本氏が生前、展示中の自分の作品に傷をつけられた際、ガラスケースに入れることを提案されたのだが、岡本氏が激怒して、「ケースになんか入れるな。傷がついたら俺が直してやる。それでいいだろ」と発言したという)にちょっと感動して、興味を持ったところにこの本があったので、ついつい買ってしまった。

で、肝心の本の中身であるが、書いてあることは素晴らしい。凡人には真似できないが、真似できないなりに心を動かされるものがある。
が、文章構成が、あまりよろしくない。というか、正直なところ、最近の書籍としては「ひどい」部類に入ると思う。大学入試の問題に出てきそうな文章だ。
書いたのが「岡本太郎」だと分かっているから読むのであって、他の知らない人の文章だったなら、どんなにいいことを書いてあったとしても、投げ出したくなるような抽象的な文言のオンパレード。私が編集者だったなら、書き直しを依頼して...著者に怒られることになるのだろうか。

が、何にもまして、この本の素晴らしいところが一つある。
それは筋が通っているということ。
岡本氏は「芸術はきれいであってはいけない。うまくあってはいけない。心地よくあってはいけない」と述べている。
そこまで言うなら、この本はまさにその通りの出来であり、立派な芸術作品になっている。
十分に重たい内容の本だ。

私は、「きれいで、うまくて、心地よい」作品のほうが好みなのだが、まだ生き方に真剣味が足りないということなのだろうか。

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