読書感想文「蜘蛛の糸」

NHKのクローズアップ現代で、コピペの話が取り上げられていた。その中で、読書感想文の雛形を用意して、小中学生のために「コピペOK」として公開しているホームページが紹介されていた。私の興味は、そのホームページよりも、そのホームページで紹介されていた、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を題材に、今の自分が読書感想文を書いたらどうなるかだった。なので、これから書く。

幸い、青空文庫で今すぐ「蜘蛛の糸」を読むことができる。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html

以下、ささっと書いた感想文。

---- ここから ----
今の自分は大人だし、大人視線なので、御釈迦様ともあろうお方がこのような中途半端なチャレンジをすることがまずナンセンスに見える。御釈迦様はそもそも人を試すようなことをしない存在なのだ。御釈迦様が蜘蛛の糸を垂らすことがあるのならば、それは地獄からカンダタを救うという御釈迦様の意思の表れであり、それは決定事項なのだ。後から糸が切られるようなことはもはやありえない。
そういった意味で、この妙に人間的な御釈迦様は、作者にとって一体何なのか、何を表現するために登場させられたのか、それが一つ興味をひく。
カンダタの昔の友達で善人だった者が今は極楽におり、たまたま地獄で苦しむカンダタを見つけ、近くにいた極楽グモの糸を垂らしてカンダタを救おうとする物語ではいけなかったのか? そして、結局カンダタは蜘蛛の糸を独り占めしようとして、地獄から抜け出せずに落ちる、という物語展開ではいけなかったのか?

また、物語の中盤、カンダタが糸を登る途中で休む場面がある。ここで、カンダタは下から登ってくる無数の罪人に気付くわけであるが、この無数の罪人の中に、一人でもカンダタの知人が混ざっていたなら、話の展開にもっと厚みが出たはずなのにもったいない。
それが特に、カンダタにとって大事な人であり、しかもまだ下の方にいたのならば、カンダタの心にも葛藤が生まれ、心の善悪をドラマチックに描写することもできたであろうに。

ところで、カンダタといえば、今の時代の秋葉原連続殺傷事件の犯人や、オウム真理教事件の犯人などを超えた極悪人中の極悪人という設定のはずだ。そういう人たちを頭に思い浮かべたとき、それよりも極悪非道なカンダタが、たった一度蜘蛛を助けたからといって極楽行きを許されかけるという事態は、社会通念上、有り得ていいのだろうか? こう考えると、「蜘蛛の糸」のシチュエーションというのは荒唐無稽に過ぎる。ここで究極の存在たる御釈迦様が登場するのであれば、やはりこれはもうカンダタが許されるストーリー展開しか有り得ないはずだ。それなのにそれが、最後には地獄に逆戻りとなる。
余りにも思慮浅い御釈迦様、余りにも簡単に行ける極楽、余りにも簡単に脱出できる地獄、余りにも無思慮なカンダタと、これでは安っぽさの詰め合わせ小説だ。

結局のところ、「蜘蛛の糸」は子供向けの作品ということなのだろうか。それならばこのシンプルな話の展開に納得の余地ありだ。しかし、救われないストーリー展開や、難しい用語など、とても子供だけに向けた作品とは思えないところがある。今改めて読んでみると、シンプルにして強引な話の展開が、かえって裏がありそうでミステリアスだ。
あと何十年もしたら、「蜘蛛の糸」は実は風刺小説で、カンダタのモデルは政治家の誰々で、といった話を誰かがし始めることになるのかも知れない。

---- ここまで ----

ここからは感想文を書いての感想。
大人になってみても、感想文を書くというのはあまり面白い作業ではなかった。
学校の先生はよくこんな苦行を当たり前のように子供に強いられるものだ。コピペで済まそうと考える子供の気持ちが、改めてよくわかった。

せっかく書いたから読書感想文はここに晒しておくことにする。
しかし、本当は、自分の感想を人の目に晒すというのが一番の苦行だ。コピペなら自分を晒さずに済むというメリットもある。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 21

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック